話題のクレアチンとBEAA|筋トレでの役割の違いとは

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話題のクレアチンとBEAA|筋トレでの役割の違いとは

この記事のポイント
・クレアチンがトレンドになって、BCAAやEAAよりも検索数もあげている
・筋肉の栄養素である「プロテイン」に対して、筋肉のエネルギー源が「クレアチン」。「クレアチン」は筋肉のエネルギー供給源である『クレアチンリン酸系』『糖質』『脂質』の中でも特に短時間・高強度の運動に効果的な成分。
・クレアチンと筋肉合成をサポートする成分は組み合わせることでシナジー効果が期待できる。例えばホエイプロテインやBEAA®も候補のひとつ。
・クレアチンは「運動による副次的効果」で筋肉を増やす効果があるだけでなく、脳のエネルギー源として記憶・注意・情報処理速度などにも貢献している。それが人気に拍車をかけている。
・市場にはクレアチン・モノハイドレートだけでなく、緩衝型クレアチンも流通している。しかしエビデンスが充実しているのはクレアチン・モノハイドレートで実績が違う。

筋トレ経験者なら「クレアチン」という成分をご存じの方も多いはず。しかし、「クレアチン」はプロテインと全く違う効果を発揮します。プロテインが筋肉を構成するアミノ酸の集合体。これに対して、「クレアチン」は筋肉のエネルギー源で、実はここ最近「クレアチン」は非常に注目されています。今回はこのクレアチンについて紹介していきましょう。

今まさにクレアチンブーム

瞬発力が求められるバタフライで力強く泳ぐ男性の写真

Google Trendsで検索いただくと一目瞭然。クレアチンの検索数が異常な伸びを示しています。2015年ごろから始まったプロテインブーム以来、クレアチンの検索数はBCAAやEAAの検索数と同じくらいかやや少なめでしたが、2020年以降は3~4倍に伸びています。もはや、BCAAやEAAをはるかに上回る検索数となっています。

クレアチンはプロテインやアミノ酸に代わるスポーツニュートリション、そして新しい健康成分として注目されているのです。

ではクレアチンとは何か説明していきましょう。クレアチンは、タンパク質を構成するアミノ酸ではありません。アミノ酸は、基本的にはタンパク質を構成する成分で皮膚や筋肉などの元となります。一方、クレアチンはアミノ酸ではなく、筋肉などでエネルギー代謝に関わる化合物です。大部分が筋肉内でリン酸と結びつき、「クレアチンリン酸」として筋肉に存在しています。

■リサーチノート:クレアチンって何者?
クレアチンは、アルギニン・グリシン・メチオニンを材料として体内で合成される含窒素化合物で、タンパク質を構成するアミノ酸ではない。構造的にはアミノ酸に似た構造に見え、下記のようにBCAAであるバリン、ロイシン、イソロイシンとよく似た構造を示している。

アミノ酸に似た構造を持つクレアチンと、BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)の構造式を比べた図

勿論、生体内における役割も少し異なる。アミノ酸は、基本的にはタンパク質を構成する成分で皮膚や筋肉などの元となり、一部アミノ酸にはタンパク質の材料として働くだけでなく、さまざまな生理機能に関わる。例えば、ロイシンは筋肉の合成に関わるのが代表的な例だ。一方、クレアチンはアミノ酸ではなく、筋肉などでエネルギー代謝に関わる化合物で、筋肉を構成することはない。

クレアチンは運動における一丁目一番地のエネルギー源

クレアチンの役割は筋肉の「エネルギー源」。筋肉のエネルギー等の供給は、4つに絞って考えるとわかりやすいでしょう。エネルギー源である『クレアチンリン酸系』『糖質』『脂質』とアミノ酸である『BCAA』。『BCAA』はエネルギー源ではないですが筋肉で重要な役割を果たすので説明のためにいれておきます。

さて、3つのエネルギー源の中で最もエネルギーになりやすく、短時間・高強度の運動でATPを素早く再生する重要なエネルギー供給系となるのが「クレアチンリン酸系」。最もエネルギーになりにくいのは「脂質」です。BCAAはエネルギー源ではないですが、長時間の運動時に筋肉から分解される成分です。

クレアチン・糖質・脂質のエネルギーへのなりやすさと、運動の時間・強度によって筋肉に起こる乳酸の生成や筋肉の分解を示した図

上記は左からエネルギー源になりやすい成分です。左にいくほど瞬発力が求められる運動になり、右にいくほど長時間の運動になります。

ちなみに最もエネルギーになりにくい「脂質」ですが、これを説明するには無酸素運動と有酸素運動を説明するとわかりやすいです。高強度運動では糖質代謝も重要なエネルギー供給源となり、その過程で乳酸が生成され、筋疲労が起こりやすくなります。昔は、乳酸が筋肉痛の原因とされてきましたが、現在では乳酸そのものが筋肉痛の直接的な原因ではないことが知られています。一方で有酸素運動では脂質の利用割合が高まりますが、運動強度や時間によって糖質と脂質の利用割合は変化します。脂質の利用割合が増えれば、当然体脂肪を減らすことにも寄与します。瞬発力のお相撲さんと持久力のマラソンランナーの体型で覚えるとわかりやすいですね。糖質をエネルギー源として脂肪はため込んで一瞬の力が勝負の分かれ目になるお相撲さんと脂肪をエネルギー源として利用する機会が多いのでカモシカ足のマラソンランナーです。あくまでたとえ話ですが。

エネルギー源というと少し語弊がありますが、運動時に筋肉分解の鍵となるアミノ酸BCAA。

BCAAは長時間の運動の際に、血中のBCAAが低下してしまい、それを補填するために筋肉を分解してBCAAを補充しようとします。筋肉に最も含まれるアミノ酸がBCAAのため補充するには都合がよいのです。エネルギー源として作用するわけではありませんが、運動中に起こる筋肉の変化には無視できない現象です。

そして、今回の主役であるクレアチンリン酸系は、糖質と脂質よりも、前段階で使われるエネルギー源。短時間・高強度の運動時にATP(細胞のエネルギー源)を素早く再生するため、瞬発的な力を必要とする運動で重要な役割を果たします。クレアチンリン酸は、ADP(ATPの前駆体)からATPを再生するためのリン酸基を供給します。

もしクレアチンリン酸だけではATP需要を十分にまかなえない場合、糖質など他のエネルギー供給系も利用されます。特に高強度の運動では糖質代謝も重要になります。クレアチンをしっかり補充しているとクレアチンリン酸が蓄えられ、素早くATPを供給することができるのです。

そういった短期的な筋肉のエネルギー源の一丁目一番地、これがクレアチンリン酸系の大きな特徴です。

貯筋のためのクレアチンローディング

クレアチンローディングをイメージした、計量スプーンで粉末をすくった手元の写真

筋肉のエネルギー源のクレアチン。筋トレ実践者やアスリートは筋肉中にクレアチンを補充するために継続的に摂取します。これがいわゆる「クレアチンローディング」。筋肉のエネルギーは貯蔵することができるのです。ある意味「貯筋」です。予め、筋肉にクレアチンを補充することで、楽に運動できるようになるのです。

■リサーチノート:クレアチンローディング
クレアチン・モノハイドレート(一般的なクレアチン)の補給(例えば、5〜7日間5 g /日、または30日間3〜5 g/日)が、クレアチンリン酸の組織中のレベルを20〜40%増加させることが示されている(Nutrients. 2022 Feb 28;14(5):1035.)。一般に1日20g程度を5~7日間に分けて摂取し、その後は3~5g/日程度を維持量として摂取するか、短期間のローディングを行わず3~5g/日程度を1か月ほど継続してクレアチンリン酸の組織中のレベルを高める方法があります。

運動中に利用されるエネルギー源は高強度運動ではクレアチンリン酸系です。そのため、即時的な筋トレに非常に適しています。瞬発力を求める運動中に利用されるエネルギー源はクレアチンリン酸系や糖質代謝がメインですが、長時間の運動では、筋肉中のBCAAを含むアミノ酸もエネルギー代謝に利用されます。ただし、運動時の主要なエネルギー供給源は運動強度や時間によって異なります。筋肉の分解を抑えるために運動中にBCAAを補充しておくことも重要なケアになります。運動する目的によって、補充する栄養素を変える必要があるということですね。

ただ、ここで、一つ強調すべきなのは、クレアチンはあくまで筋肉の『エネルギー源』であるクレアチンリン酸系を支える重要な栄養成分ということです。クレアチン摂取で筋肉が増えたという報告はいくつか見られますが、これらは「運動による副次的効果」であり、クレアチンは、必須アミノ酸のように筋タンパク質の材料として直接利用される成分ではありません。

■リサーチノート:クレアチンの筋肉合成能
2024年の23件の研究を対象に行ったメタ解析では、レジスタンストレーニング+クレアチンにより、上半身筋力:平均 +4.43 kg、下半身筋力:平均 +11.35 kgの向上が見られている(Nutrients. 2024 Oct 28;16(21):3665)。サブグループ分析では、クレアチン服用中の男性が女性に比べて上半身筋力の向上がより大きい傾向が示され、男性に女性よりも大きな効果が見られる可能性が高いことを示している。また、30年間にわたる1,000件以上の研究を総括し、4〜12週間のトレーニング期間中で1〜3kgの筋肉量(除脂肪体重)の増加をもたらすと結論付けている(J Int Soc Sports Nutr. 2017 Jun 13;14:18)。これらの結果は基本的には運動と併用しているという点があることを強調しておく。クレアチンは「運動による副次的効果」によって筋肉量を増やす成分として確固たる地位を築いている。

クレアチンは、必須アミノ酸のように筋タンパク質の材料として直接利用される成分ではないのであれば、必須アミノ酸との組み合わせは非常に有用です。筋肉合成を効率的に行いたい場合は、別の栄養素で筋肉合成のスイッチを入れる必要があります。例えば、たった3gでホエイプロテイン20g相当の運動によるカラダづくりをサポートするBEAA(Balanced Essential Amino Acid)など筋肉合成のスイッチを入れてくれる栄養素との組み合わせは効果的です。無理な負担をかけずに運動による筋肉合成スイッチに間接的に寄与する「クレアチン」と直接筋肉合成スイッチに働きかけるBEAA。「運動」と「栄養」のどちらもサポートする組み合わせで筋肉をつくる効率的な組み合わせになりますね。

クレアチンが注目されている理由 脳にも関係するクレアチン

脳のエネルギー源としても働くクレアチンをイメージした、光のネットワークで表した脳の画像

クレアチンがトレンド上昇となっている理由は、この筋トレ効果だけではないことも面白い事実です。というのも、クレアチンは筋肉だけに存在するわけではありません。脳にもクレアチン-クレアチンリン酸系があり、ATPを素早く再生するエネルギーシステムとして働いています。

■リサーチノート:クレアチンはブレインフード
健康な若年成人のベジタリアン45名を対象に、1日5gのクレアチンを6週間摂取させた結果、時間制限のある知能テストの成績と、作業記憶のスコアが有意に向上し(Proc Biol Sci. 2003 Oct 22;270(1529):2147-50)、「筋肉のためのサプリ」だったクレアチンが、「脳のエネルギー代謝を助けることで、人間の知的パフォーマンスをも向上させる」という具体的な証拠を、質の高い臨床試験で初めて明確に示した。クレアチン貯蔵量が少ないベジタリアンで試験を実施することでより明確な効果を証明したことで知られている。その後、2024年の系統的レビュー・メタ解析では、16件のRCT、492人を解析し、クレアチン摂取によって、記憶・注意・情報処理速度などで有意な改善が報告され (Front Nutr. 2024 Jul 12:11:1424972)、SNSやフィットネス界隈で「脳のサプリ」としての認知を一気に広げるきっかけとなった。

アスリートだけでなく、一般のウェルネス層・中高年にも広がっていることが報じられており、今後も注目の成分となっています。

クレアチンにもいろいろある?

「クレアチン」がトレンド傾向にある中、さまざまなクレアチン形態が市場で展開されています。例えば、「クレアチン・モノハイドレート(一般的なクレアチン)は胃で分解を受けてしまう」から緩衝型クレアチンを推奨して差別化を図っている商品もあります。

■リサーチノート:クレアチンvs緩衝型クレアチン
2022年のKreiderらのレビューによると、「クレアチンが胃で分解されるリスクはほとんどなく、消化中にクレアチニンに分解されるのは1%未満で、99%が分解されずに組織に取り込まれる」ことを論じている。2010年代初頭、緩衝型クレアチンの一つが生物学的に利用可能なクレアチン源として大々的に販売、クレアチン・モノハイドレートの最大10倍の生物学的利用能であると主張していたが、その根拠は査読されていないレポートをウェブサイトで引用しているのみに留まると指摘している(Nutrients. 2022 Feb 28;14(5):1035.)。実際、論文化される兆しはない。逆に、クレアチン・モノハイドレート(一般的なクレアチン)の方がエビデンスは多く、信頼ができるというのがKreiderらの主張でクレアチン・モノハイドレートのエビデンスの豊富さを体系的に説明している。Jagimらがクレアチン・モノハイドレートと緩衝型クレアチンとの直接比較を実施した結果、筋肉内クレアチン蓄積量はどちらのグループも増加したが、むしろ従来のクレアチン・モノハイドレート群の方が高い増加傾向を示した。筋力、無酸素運動能力、除脂肪体重の増加においても緩衝型クレアチンが優位な効果は得られず、緩衝型クレアチンがクレアチン・モノハイドレートよりも優れる証拠はないと論じている(J Int Soc Sports Nutr. 2012 Sep 13;9:43)。

ただ、研究の蓄積が最も多いのはクレアチン・モノハイドレートです。クレアチンの市場が拡大する中で、緩衝型クレアチンのように差別化されたクレアチンが台頭してくるのもわかりますが、強く支持されるのはクレアチン・モノハイドレートであることも補足しておきましょう。結局、いろいろなクレアチンはありますが、学術的な実証が最も多いクレアチン・モノハイドレートが、現時点では最もエビデンスの蓄積された形態といえます。

勿論、緩衝型クレアチンなど他のクレアチン成分を否定するわけではないですが、エビデンスの質と量では一歩リードしているのは一般的なクレアチン(クレアチン・モノハイドレート)と言わざるを得ないのが現状かと思います。

よくある質問

クレアチンを飲めば筋肉量が増えますか?

運動を前提にクレアチンを摂取すれば筋肉量が増える可能性があります。クレアチンは瞬発的な運動のエネルギー源となります。クレアチンの筋肉に対する効果は運動効率をあげた結果による副次的なものです。日頃の運動と適切な栄養に心がけてクレアチンを摂取するのがおすすめです。

クレアチンを飲めば脳機能(集中力・判断力など)にも効果が期待できますか?

クレアチンは筋肉のエネルギー源だけでなく、脳のエネルギー源にもなります。そのため、脳機能への好影響も報告されています。

緩衝型クレアチンならクレアチンより少ない量で効果が期待できますか?

緩衝型クレアチンはクレアチン・モノハイドレートの最大10倍の生物学的利用能であると主張していたが、査読されていないレポートをウェブサイトで引用しているのみです。実際にクレアチン・モノハイドレートと緩衝型クレアチンとの直接比較を実施した結果、緩衝型クレアチンがクレアチン・モノハイドレートよりも優れる証拠は得られないという査読付きの論文があります。そのため、少ない量で効果が得られるとは言い難いです。

クレアチンは血液検査であるクレアチンキナーゼやクレアチニンと同じ物質ですか?

別物です。クレアチンが筋肉のエネルギー源であるのに対し、クレアチンキナーゼはクレアチンとリン酸を結びつける酵素で筋肉中にたくさん存在します。血液検査のクレアチンキナーゼは筋肉が壊れたときに漏れ出る酵素量をみることで筋損傷の指標で使われます。また、クレアチニンはクレアチンが代謝された後の老廃物です。血液検査のクレアチニンは老廃物がどれだけ腎臓でろ過できるかを評価できるので、腎機能の指標で使われます。

まとめ

いかがでしたでしょうか「クレアチン」。クレアチンリン酸系は運動のための「エネルギー源」という意味では、最も効果的なエネルギー源ですね。一昔前では安全性の懸念も囁かれていましたが、世界各国で「クレアチン」は再認識されて「安全性が高い」という認識も広がったようにも思えます。

筋トレという軸で筋肉の栄養素である「プロテイン」、実は筋肉合成のためにはプロテインの中の必須アミノ酸が重要であったという「EAA」、長時間の運動で筋肉の分解を抑えるには「BCAA」といわれている中で、高強度運動を支える「クレアチン」。筋トレ以外の効果も注目されていて目が離せない気がします。今後の動向に着目したいですね。

※BEAA®は、株式会社東洋新薬の登録商標です。
※BEAA®は、BCAAとEAAを独自のバランスと技術で配合した次世代アミノ酸です。特定条件下の試験において、3gでホエイプロテイン20g相当の運動によるカラダづくりサポートが確認されています。

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