この記事のポイント
・筋肉を効果的につくるには過度な運動より適切な運動で、プロテインを効果的にとるには摂取量より摂取頻度。この2つを抑えておくのがおすすめ
・激しすぎるトレーニングは筋損傷や炎症が強くなり、けがのリスクが高まる一方で、適切な運動は運動後24~48時間ほど、筋肉を合成しやすい状況をつくり、プロテインが筋肉合成をサポートする
・プロテイン摂取による筋肉合成も閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)があり、摂ればとるほどよいものでもない。そのため、40gのプロテインを2回摂取するより、20gのプロテインを4回摂取するほうが効果的で、適切な運動後の摂取頻度が筋肉合成を効率的に行えるコツになる
・プロテインの摂取頻度を増やすために間食や夕方の時間を有効に活用するべき
・運動とプロテインの摂取頻度を意識すれば効果的なカラダづくりをサポートできる
筋肉を効率的につくるには運動が一番重要です。しかし、運動だけでなく、栄養も筋肉づくりには欠かせません。運動によるボディメイクには運動と栄養の両方が必要になってきます。しかし、筋肉づくりにはいくつか誤解されやすいポイントがあります。
それは「運動をすればするほど筋肉がつく」「プロテインを摂取すればするほど筋肉がつく」という2つの誤解です。
この2つの誤解を解消するには、「適度な運動で頻度よくプロテインを摂取する」ことです。今回は2つの誤解を紹介しつつ、その解消法である効率の良いカラダづくりを目指したライフスタイルをご提案します。
「筋トレをすればするほど効果的」の誤解

筋肉はつねに体内で合成され、逆に分解もされています。合成が上回れば筋肉がつき、分解が上回れば筋肉はつかない、そのバランスで成り立っています。そのため、過度な筋トレが必ずしも効果的とは限りません。効果的な筋トレは適切なトレーニングと休息が必要です。
「運動しすぎのアスリートは早死にする?」って聞き覚えはないですか?運動不足は健康によくないですが、過度な運動もまた健康によくないのです。
■リサーチノート:過度のトレーニングが健康リスクを高める
健康リスクとトレーニング時間の関係を10件の研究を統合して行った2022年のメタ解析では、長時間のトレーニングが健康リスクを高める結果となっている。
下のグラフは筋トレなしを総死亡、心血管疾患、がんなどの相対全死亡リスク1.0としたときにトレーニング時間とリスクの関係を示している。トレーニング時間が週30~60分であればリスクが最も低い範囲となり、週40分の場合が最も低く運動をやらない人より相対リスクが17%も低い。一方で、週140分を超える筋力トレーニングでは、相対リスク1.0を超え時間が長くなるほどリスクが高くなる解析結果となっている(Am J Prev Med. 2022 Aug;63(2):277-285)。これは筋トレのやりすぎで長期的な健康が損なわれる可能性を示している。

しかも、過度な運動による筋肉の分解は1日では終わりません。筋肉の分解が上回るリスクの要因として、例えば激しい運動後にはストレスホルモンであるコルチゾールが一時的に上昇し、これが長時間になれば筋タンパク質分解を促進する方向に働きます。ラグビー選手を対象とした研究では、試合終了後60時間程度までコルチゾールが高い状態が続くことが報告されています(J Strength Cond Res. 2014 Jan;28(1):194-200.)。これが慢性化すれば、常に筋肉が分解されやすい状況に陥ってしまいます。
さらに、激しすぎるトレーニングは筋肉に強烈な刺激を与え、筋損傷や炎症が強くなることで、けがのリスクが高まる可能性があります。トレーニングのやりすぎでけがをしやすくなって、打撲や肉離れが起こりやすくなるというのは聞いたことがありませんか?筋肉への負担だけでなく、けがなどの不利益も生じてしまうのです。
一方で、レジスタンストレーニング後は筋タンパク質合成も同時に大きく高まるため、十分な栄養と休養を確保すれば、筋タンパク質合成が分解を上回り、筋肥大につながります。
■リサーチノート:適切な運動は筋肉合成のスイッチを24時間いつでも押せる状態に
適切な運動は「筋線維を太くする」と体にスイッチを入れられている状態で、そうなると筋肥大のためにカラダからは筋肥大を促すさまざまなシグナルが活性化され、サテライト細胞も活性化させる。サテライト細胞は普段は休止状態だが、筋トレなどによる筋肉の損傷をきっかけに目覚め、増えて傷を修復し、筋肉を太くする。この状態は、運動後24~48時間ほど続き、筋肉を合成する体内システムが強く作動する状態といわれる(Can J Appl Physiol. 1995 Dec;20(4):480-6)。つまり、この運動後24~48時間にプロテインなどで筋肉合成のサポートを行うことが重要になってくる。
一般的には運動後24時間筋肉合成のスイッチが入る状態で、場合によっては48時間まで続きます。そのため、「運動しない日もプロテインが必要」になります。筋肉合成も筋肉分解も運動によって1日を超えて影響してくるため、プロテインなどの栄養と十分な休息はしっかり確保しましょう。どうしても過度な運動を強いられることは起こります。そんな過度な運動を強いられるときにこそ、栄養と休息が重要になるのでご注意ください。運動しないときも、筋タンパク質合成が分解を上回り、筋肥大につながる状況を絶えず作っていくことが重要なのです。
「タンパク質は摂取すれば摂取するほど効果的」の誤解
運動も休息をいれながら適切な運動をすることで、筋タンパク質の合成が分解を上回るバランスをつくることが重要なことはおわかりいただけましたか?
特に栄養は効果的な第一手段になります。運動のみでは筋タンパク質収支(Net Protein Balance)はマイナスです。何もしないと筋肉の分解リスクが高まります。一方で、タンパク質の摂取によってプラスへ転じることが知られています。
■リサーチノート:筋肉の収支バランスを整えるのはまず栄養
プロテインによる筋肉の収支バランスを示す代表的な報告として有名な論文(Med Sci Sports Exerc. 2004 Dec;36(12):2073-81)。健康なボランティアを3つのグループのいずれかにランダムに割り当て、各グループは3種類の飲み物のいずれかを脚の伸び運動終了から1時間後に摂取させた(プラセボ、20gのカゼイン(乳タンパク質)、またはホエイタンパク質)。すると、筋タンパク質収支(Net Protein Balance)はプラセボでは負のままだが、乳タンパク質やホエイタンパク質といったタンパク質を摂取した群のみ筋タンパク質収支がプラスになり、プロテインなどの栄養によるサポートが「筋肉合成>筋肉分解」の状況をつくりだしている。この状態を継続することで全体の筋肉量を底上げできることになる。
それではタンパク質を摂取すれば摂取するほどよいのかというとそうとは限りません。
タンパク質摂取の筋合成は実は「閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)」があるからです。運動状態にもよりますが、必要とされる1回のタンパク質量は多ければ多いほどよいというわけではありません。
■リサーチノート:タンパク質摂取量の閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)
2015年に発表し、筋肉合成の閾値を示した有名なMoore DRらの論文。平均年齢22歳の若年者と71歳の高齢者を対象に、0g〜40gまでのタンパク質摂取による筋タンパク質の合成速度を検証した。若年者と高齢者から得られたデータを解析した結果、若年者は0.24g/kg 体重(66.5kg*の場合、約16g)、高齢者は0.40g/kg 体重(61.6kgの場合、約25g)が必要なタンパク質量であることが明らかになり、それ以上の摂取による効果は見られなかった(J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 Jan;70(1):57-62)。

*体重は平成28年国民健康栄養調査・22歳または70歳以上男として算出。
つまり、タンパク質を摂取しても筋肉の合成は一定量でその筋タンパク質合成には上限があるため、1回の摂取量を過度に増やす必要はありません。ただ誤解しないで欲しいのは過度に運動するときはタンパク質の補給は多いほうがよいです。過度な運動で急激に筋肉の分解が行われる場合は筋肉の分解を防ぐためにタンパク質の補給は必要になります。
適度な運動前提で考えた場合に、1回のタンパク質摂取量を、必要量を大きく超えて摂取しても効率は高まりにくいことは意外と知られていないかもしれません。しかし研究の分野では「筋肉合成の閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)」を支持する事例は他にも複数存在します。
■リサーチノート:1日における総タンパク質摂取量はもはや重要ではない
立命館大学スポーツ健康科学研究科の藤田聡・教授および同大学博士課程後期課程2回生安田純氏の研究グループでは、毎食、一定量以上のタンパク質を摂取しないと筋肉量低下のリスクに繋がることを明らかにしている。これまでは、1日における総タンパク質摂取量が重要であると定説となっていたが、健常若年者において除脂肪量(筋肉量の指標)と1日における総タンパク質摂取量との関係性で、定説とは異なる結果が確認された。この研究では、1日における総タンパク質摂取量が充足していても、3食(朝食・昼食・夕食)の内、1食でも一定量のタンパク質摂取量(0.24 g/kg 体重)を確保できないと筋肉量低下のリスクに繋がることを明らかにしており、このことから、1日における総タンパク質摂取量の確保だけでなく、毎食の食事でのタンパク質の摂り方も筋肉量の維持・増加の観点から重要であることが示唆されている(Nutrients. 2019 Mar 13;11(3):612)。0.24 g/kg 体重というのは、Moore DRらの研究と同程度の摂取量になり、具体的にはタンパク質15g~25gが筋肉合成のためのタンパク質摂取量の「閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)」であることが読み取れる。
ではどうやって効率的に筋肉を増やすのか?摂取頻度を増やすのが得策

栄養面で効率的に筋トレをサポートするにはどうしたらよいのか。0.24 g/kg 体重というのが、1回のタンパク質摂取で筋タンパク質合成を十分に刺激できる目安量と考えると、その必要量をいかに摂取するのかが重要になってきます。つまり、目安量を超えて摂取するよりも目安量を摂取する回数を増やすことがポイントになるのです。簡単に言えば「量より質」です。プロテインをまとめて1回で摂取するよりも、プロテイン15~25gほどを1日に複数回摂取するほうが効果は高いのです。
■リサーチノート:プロテインの摂取頻度と筋肉合成の関係
プロテイン80g を下記の3パターンで摂取した時の筋タンパク質の合成を比較した研究(J Physiol 591.9 (2013) pp 2319-2331)。一定の運動後、40gや20gのプロテインを6時間毎に摂取する場合と、10gを1.5時間毎に3回摂取するのを1セットとして3セット繰り返す。どのパターンもプロテインの総摂取量は同じ量に調整した。

その結果、40gのプロテインを2回摂取するより、20gのプロテインを4回摂取するほうが効果的な筋肉の合成が行われることが明確になった。
また、プロテイン10gを1.5時間おきのちょこちょこ飲みもそれほど効果が得られなかったという結果になり、立命館大学やMoore DRらの研究と同じように筋肉合成のためのタンパク質の「閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)」量である15g~25gの摂取回数を増やすことが筋肉づくりに有効であることが示唆された。

『私はタンパク質をいつも摂っています』と安心しても1日における総タンパク質摂取量が満たされているだけでは、そのタンパク質の摂取方法は「賢く」ないかもしれません。「朝はパンとコーヒー、昼はコンビニのおにぎりとサラダ、夜は普通に肉食なのでタンパク質は十分に摂取しています」だと、筋肉合成のためのスイッチは1日に1回だけかもしれません。毎食タンパク質を気にして、朝は納豆1パックを追加(タンパク質約8.3g)、間食にゆで卵1つつまみ食い(タンパク質約6g)とちょこちょことタンパク質を摂取しても、1回の摂取量が15g以上いかないと筋肉合成には非効率。
(納豆1パック・ゆで卵1つ・肉類魚介類の100gの数値は「日本食品標準成分表(八訂)増強2023年」に基づく)
そしてタンパク質の「閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)」量である15g~25gは摂取するには意外と多く感じます。肉類や魚介類であれば手のひらに乗る量が100g前後でおおよそ16~20gなので、ちょっと気軽に摂取できる量ではありません。つまり、朝・昼はタンパク質が少なく、夜だけ多い食事では、筋肉づくりのチャンスを十分に活かせていない可能性があります。
そもそもプチ断食で1日2食のダイエットをやっていると実は筋肉量を維持しにくくなる可能性が潜んでいるかもしれません。いつの間にか、筋肉が少なくなってリバウンドしやすくなっているかも・・。
しかも若い方よりも高齢になればなるほど筋肉合成のためのタンパク質の必要量は多くなるため、想定より多く摂取しないといけない計算になります。
そのため、プロテイン飲料は効果的なタンパク質の補給に役立ちます。1回の摂取量で15~25gのタンパク質の摂取が可能になります。RTD飲料(フタを開けてグラスなどに移さず、そのまますぐに飲める飲料)は便利ですが、毎日持ち歩くにはコストや荷物の面で負担になることもあります。粉末になればシェイカーが必要になり、手間は手間になります。
たった3gでホエイプロテイン20g相当の運動によるカラダづくりをサポートするBEAA(Balanced Essential Amino Acid)も使い勝手の良い解決方法です。
「BEAA」は、筋肉に必要なアミノ酸「BCAA(Branched Chain Amino Acid)」とタンパク合成に必要なアミノ酸「EAA(Essential Amino Acid)」を、独自のバランスと技術で配合した次世代アミノ酸です。
少量で筋肉づくりをサポートできるから、ワンショットでそのまま摂取する粉末剤形や、シェイカーを使わないで水に混ぜる粉末飲料も可能です。また食事に混ぜてプラスαでいつものスタイルを変えないというやり方もあります。例えば、コーヒーを飲まれる方は、休憩時間のコーヒーなどにBEAAを加えることで、普段の習慣を大きく変えずに取り入れられます。仕事終わりの間食代わりにBEAAを取り入れる方法もあります。夕方の疲れたときにリフレッシュとともに筋肉スイッチを入れることも可能です。このように日常に溶け込む活用方法も可能です。
皆さんも効率的な筋活方法を探してみませんか。
よくある質問
筋トレしすぎると、筋肉量は落ちるのですか?
過度な筋トレは筋肉分解を促進させます。すると、筋肉合成と筋肉分解のバランスが崩れるため、筋肉量が落ちる方向になります。そのため、プロテインを摂取して筋肉合成と筋肉分解のバランスを調整することが大切です。
過度な筋トレをしたので、いつもより多くプロテインを摂取してもよいですか?
過剰な筋肉分解を抑えるために、いつもより多くのプロテインを摂取することはとても重要なことです。しかし、1回に摂取するプロテインの量を増やすより、数時間ほど時間間隔をあけて15~25gのプロテイン量を複数回に分けて摂取したほうが筋肉合成と筋肉分解のバランスを調整するには効果的です。
運動しない日もプロテインを摂取したほうがよいのですか?
運動による筋肉合成のスイッチは24~48時間続きます。また過度な運動による筋肉分解も翌日にまで影響します。運動しない日もプロテインを摂取して筋肉合成と筋肉分解のバランスを調整するのは重要です。
年を取るとプロテインの摂取量を増やさないといけない?
高齢者ではタンパク質摂取による筋肉合成が起きにくくなり、閾値(筋タンパク質合成が十分に刺激される目安)も大きくなります。そのため、タンパク質の摂取量を増やす必要がありますが、タンパク質の過剰摂取は腎臓などの負担にもなります。プロテインで1食のタンパク質の摂取量を増やすよりも、間食などにプロテインを15~25g摂取して回数を増やしたほうがおすすめです。
まとめ
筋トレもタンパク質摂取もやればやるほどよいというものではありません。筋トレは休息と栄養を組み合わせて筋肉合成が筋肉分解を上回るバランスが重要です。タンパク質も1回にたくさんのタンパク質を摂取するのではなく、筋タンパク質合成を刺激できる量を、適切な回数に分けて摂取することが大事です。なんでも「やりすぎ」は良くないということですね。
「賢い」筋活をするために、適度な筋トレとタンパク質摂取、そのためにはサプリメントもうまく活用する必要があると思います。「賢い」筋活は、無理に生活スタイルを変えるのではなく、これまでの生活スタイルを少し変えるだけでも十分可能です。皆さんもできるところから始めてみましょう。
※BEAA®は、株式会社東洋新薬の登録商標です。
※BEAA®は、BCAAとEAAを独自のバランスと技術で配合した次世代アミノ酸です。特定条件下の試験において、3gでホエイプロテイン20g相当の運動によるカラダづくりサポートが確認されています。